この十数年の間に、「働き方」「キャリア」などの言葉をよく目にする機会が増えました。一昔前であれば、「出世」や「昇格」という言葉が主流だったのではないでしょうか。
一般的に使われる言葉やキーワードが変化する場合、背後には何かしらの大きな動きがあります。おそらく、仕事や働くことに対する「視点」が変わってきているのでしょう。
「出世」や「昇格」などは、企業の内側から見た場合に使われる言葉です。一方、「働き方」や「キャリア」などは、企業の外側から見た場合に使われる言葉です。
さて、ここで質問です。なぜ「視点」が変わってきたのか答えられますか?
「たぶん、世の中が変わってきたからだと思う…」
そうですね。概ね正解です。これをもう少し具体的に考えていきましょう。
1. 企業と従業員のパワーバランス
結論から述べると、企業と従業員の「パワーバランス」が変化してきたことが背景にあると思います。一昔前であれば、企業や組織の力は圧倒的で、従業員に対しては右肩上がりの賃金や、魅力的な地位(ポスト)を与えてくれる存在だったでしょう。
つまり、昔は企業が従業員の面倒をすべて見てくれました。一人ひとりが「働き方」や「キャリア」なんて言葉を意識する必要などなかったのです。
では、現在はどうでしょうか?企業に昔ほど絶大な存在感があるとは思えません。これは、企業の体力や寿命が徐々に低下してきたからだと考えられます。
その背景には、国際化や産業の構造変化などによる、年功序列や終身雇用の崩壊があります。さらに、少子高齢化による人手不足も相まって、従業員の存在感が相対的に上昇したことも起因してます。今や、若く優秀な労働力は引っ張りだこ状態です。
つまり、
「従業員(個人) << 企業」の関係から、
「従業員(個人) <= 企業」くらいまでの関係になってきたのではないでしょうか。
昔は戦闘力の差が1,000倍以上あったのに対して、今では分野によっては対等に戦える状況になっています。
とは言え、今はまさにその過渡期です。昔の体制に最後まで居続けようとする層と、新しい体制を模索する層に分かれてきています。人口動態を見れば何となく想像がつくでしょう。社会の新陳代謝というやつですね。
2. 企業の外側から周辺を見渡す力
であれば、新しい体制を模索する従業員は、今後どのように自分たちの「働き方」や「キャリア」を作っていけばよいのでしょうか?
「とりあえず、このまま少し様子をみたい…」
はい、そのような余裕はナッシングです。そうですね。例えば、仕事に対する「視点」を変えてみるのはどうでしょうか。
つまり、先ほども言いましたが、企業の内側からだけではなく、企業の外側から周辺を見渡すことをやってみるのです。この体験を繰り返すことで、徐々に道が切り拓けると思います。
「えー。本当にそんなことやらないとダメなの?」
おそらく。今は何とかなっても、この先は徐々に厳しくなってくると思います。一つの理由としては、企業を経営する上で、昔ほど従業員が必要ではなくなる時代がやってくるからです。
従業員にとって代わる存在が現れ始めているからです。AI、RPA、アウトソーシングサービス、クラウドワーカー、フリーランサー、クラウドシステムなど。
この先は、企業に残れるのは経営者や一部の管理職、コア技術の開発者などに限られてくると予想されます。逆に言うと、そういう存在になれない人は企業にいられなくなるかもしれません。
そんな時代では、企業の内側からしか社会を見れないようでは、多くの人は危機的な状況に陥る可能性があります。だからこそ、今の内から企業の外側から周辺を見渡す力を養うことが大切だと考えます。
「そうは言っても、具体的には何をすればいいのか分からないよ…」
いきなりは難しいと思いますので、最後に幾つか処方箋を出しておきます。気になる項目から少しずつ始めてみましょう。
- 自社の事業の仕組みを徹底的に理解する
- 自社の事業に欠かせない専門性が何か見極める
- 社会ニーズの高い専門性を見極める
- 自分の強み、性格、価値観などを理解する
- 自分と親和性の高い専門性を磨き続ける
- 専門性を独自の視点で発信する
- 最新のデジタルツールやITツールの活用方法を学ぶ
- 世の中にある求人や案件の集め方を学ぶ
- 自分の強みをアピールする術を身につける
- スケジュール管理や自己管理の方法を身につける
- 人を動かす力(コミュ力、説明力、依頼力など)を身につける
- 人脈を広げ、信用度を高め、信頼関係を構築していく
- 新しいことを始める力(ニーズ発掘力、プロモート力など)を身につける
まとめ
今回は、これからの「働き方」「キャリア」がどのように変わっていくのかを書きました。
要点を下記にまとめておきます。
- 「出世」「昇格」から「働き方」「キャリア」に言葉が変わった
- 企業の内側から外側に視点が変わってきている
- 従業員と企業のパワーバランスが変わってきている
- 従業員にとって代わる存在が現れ始めている
- 企業の外側から周辺を見渡す力を少しずつ養うことが大切