現在は、会社や家庭、様々なコミュニティにてストレスを感じやすい時代です。とりわけ、人間関係で強いストレスを感じている方も多いかと思います。私もその一人です。
一括りに「ストレス」と言っても、生きていく上で適度なストレスは必要です。自分の経験上、ストレスが全くない状況では、人間は堕落してしまいます。多少の不安や緊張感は生きる上での糧となります。
ただ、過度なストレスは人間の心を容赦なく破壊します。従って、生きる上で、ストレスを適切に管理することが極めて重要になってきます。では、あなたはストレスを適切にコントロールできていますか?
「いや、毎日ストレスを感じています。何とかしてください…」
分かりました。ストレスに悩まされている方は、その発生メカニズムと、それに対処する術を知りません。これらを正しく認識することでストレスに対処することが可能になります。今回はその話をします。
1. ストレスの原因
さて、問題解決の基本ですが、何事も原因を特定することが第一歩です。ストレスの主な原因を書き出してみます。
- 人間関係(上司、同僚、家族、友人、コミュニティなど)
- 成果が出ないこと(事業、仕事、学業など)
- 不確定要素(プレッシャー、将来の不安など)
如何でしょうか。この3つは多くの人に共通する内容だと思います。特に、人間関係のこじれが極めて強いストレスを発生させるでしょう。
2. ストレスの度合い
ストレスの原因を考えました。ただし、人によっては、同じ要素でもストレスの度合いが異なります。では、ストレスの大小は何によって決まるのでしょうか。これを把握することが、ストレスをコントロールする上で滅茶苦茶重要です。
結論から述べると、ストレスの度合いは、「自分の期待値」と「結果」のズレによって決まります。計算式で表すと下記のようになります。
ストレスの度合い = k(自分の期待値 - 結果) ・・・式1
※kは比例定数
基本的に、自分の期待値と結果はズレます。自分の期待値が上がれば上がるほど、結果との乖離が大きくなり、ストレスの度合いも大きくなります。
常に自分の期待値通りの結果を出し続けることは難しいので、この式に従っている限りは、一生ストレスから逃れることはできないでしょう。
「そんな…じゃあ、一体どうすればいいのさ」
残念ながらストレスを0にすることはできませんが、ストレスを減らすことはできます。大きく2つの選択肢があります。
- 自分の期待値を下げる
- この式に従わない他のモノサシをつくる
まだ何のことか分からないと思います。順に説明していきます。
3. ストレスへの対策
自分の期待値を下げる
これを端的に説明すると、諦めるということです。自分は何をやってもダメだろう。あらゆることは上手くいかないと達観します。つまり、最悪の結果を想定し、自分の期待値を予め下げておきます。
どのような結果になっても、それをただ受け入れます。傷つくことを避けるために、もう何も期待しません。仕方がありません。残念ながら、自分の期待値と結果のズレを最小化するには、もうすべてを諦めるしかないのです。
「いやいや、暗すぎる。それはちょっと悲しすぎませんか…」
確かに、これしか対策がないとあまりに救いがありません。かと言って、(式1)に従って生きている限り、他の選択肢は存在しないのが現実です。なので、(式1)を捨てます。ここからが、この記事で書きたかったことです。ここから少し集中して読んでください。
他のモノサシをつくる
さて、ここからが本題です。皆さんは期待値をどのように設定していますか。例を書き出してみます。
ストレスの原因 | 期待値の例 |
---|---|
人間関係 | 相手の考えを変えさせる、相手に自分を認めさせる、自分の意見を通す、自分の優位性を示す |
成果が出ないこと | 事業の成功、上司からの高評価、出世・昇格、給与・賞与の上昇、試験の合格、テストの高得点、成績の上昇 |
不確定要素 | 状況の好転、外部環境の改善 |
何かに気がつきませんか?よく考えてみてください。皆さんが期待していることや望んでいることは、大部分は自分自身でコントロールできないことに。
努力すれば100%必ず達成できるかと言えば、そうではないのです。努力次第で100%に近づけることはできるかもしれません。しかし、大部分は外部要因や運などによって左右されることが多いのです。
つまり、自分自身でコントロールできないものに過度に期待している傾向があります。これでは、結果が伴わない場合に強いストレスを感じたり、失望して生きる気力を失う可能性が高いです。
だから、だから、だから、「自分でコントロールできないもの」を軸として、期待値を形成してはいけません。その代わり、自分でコントロールできるものを軸に期待値を形成するのです。
では、自分でコントロールできるものは何でしょうか?
「成長することや、経験することかな…」
はい、その通りですね。自己の「成長感」や「経験値」などの増幅は、考え方次第で自分でいくらでもコントロールできます。つまり、何事も自己の成長感や経験値に変換(紐づけ)していくのです。このモノサシを(式1)の代わりに使います。
個人的には、厳しい仕事においては、処理能力の向上や、他人にはない貴重な経験値のストックに積極的に利用しています。難しい人間関係においては、コミュニケーション能力の向上や、人的マネジメントスキルの習得、トークネタのストックに打算的に利用しています。
なお、ここでストックした能力やスキル、経験値は後に必ず生きてきます。これは間違いありません。今のうちから、何事からも貪欲に吸収しておくことが驚くほどに重要なのです。
自己の成長感や経験値の増幅という期待値には、他者や外部要因が一切登場しません。従って、どのような結果になろうとも、自分の期待値を100%回収できるのです。
私はこのモノサシでストレスを0ではないですが、かなり圧縮することができています。そして、自分がやることすべてにおいて、成長感と経験値という軸で期待値を100%回収しています。
このモノサシでは、誰かと競ったりしません。過去の、昨日の自分とだけ戦っています。そして、すべて勝ち戦に持ち込んでいます。はい、詭弁です。ですが、そのようにして疲弊しにくい精神状態をつくり上げています。さらに、自分の自信増幅にも利用しています。
4. 価値観を変える
ただし、このモノサシを自分にインストールするには、生きる上での価値観を変える必要があります。私も含め、多くの人は生まれながらにして、不平等な競争環境に身を置かれています。そして、常に他人と比較され続ける運命にあります。
今の日本はそういう社会だと思います。多くの人と同じ道を歩いている限り、同じ山を登っている限りは、競争やストレスからは逃れられないでしょう。
私は競争を否定する気はありません。私も利己的に競争社会で足掻いています。社会がここまで発展してきたのは、人間の飽くなき欲と競争があってこそだと思います。勿論、ストレスもあって然りでしょう。
ただ、問題はその社会に取り込まれ、逃げ道が一切なくなっている現状です。その一つの処方箋として、この記事を書きました。外部環境を変えていくには時間がかかります。先ずは自分自身の内部環境(モノサシ)を変えてみましょう。その後に、果敢に外部環境に影響を与えていきましょう。
正解はないので、皆さんも自分なりに考えてみてください。
まとめ
今回は、ストレスをコントロールする方法をご紹介しました。
押さえておくべきポイントとしては、
- ストレスの主な原因は、人間関係、成果がでないこと、不確定要素
- ストレスの度合いは、「自分の期待値」と「結果」のズレで決まる
- ストレスを減らすには、期待値を下げるか、モノサシを変える
- 自己の「成長感」や「経験値」を軸に期待値を形成する