「働き方改革」を題材に、物事の背景を捉える思考法を磨く

reform of workstyle 思考法

昨今、「働き方改革」という言葉をよく耳にします。この言葉、どういう意味で使われているのかちゃんと自分で説明できますか?

「残業せずに、早く帰宅するようにということ…」

確かにこの言葉には、残業しないようにという意味も含まれていると思います。ただし、残業がなくなることは結果であって、目的ではないはずです。

「働き方改革」には、仕事の生産性を向上させ、効率よく働いていこう。そうすれば、自然と残業も減っていき、仕事以外にも時間を有意義に使えるようになる。という意図があります。

そもそも、この「働き方改革」という言葉、誰が何の目的で使い始めたか知っていますか?確かに最近出てきた言葉だし、気になる。

この記事で書きたかったことは、「そこ」なんですよ。つまり、物事を捉える際には、その「背景」を明確に把握することが極めて重要なんです。

深く考えず、表面的な言葉やキーワードだけに踊らされていると、いつか大きな落とし穴にはまることになります。では、落とし穴にはまらないためにはどうすればよいのか。ここから少し集中して読んでくださいね。

1. 物事の捉え方

物事を捉える際は、最低でも以下の3つの視点を明確に考えます。

  • 発信者
  • 目的
  • 内容の深掘り

つまり、誰が、何の目的で、何を意図しているのか、ちゃんと把握することが滅茶苦茶大切なのです。これらを意識することで、誤った方向にミスリードされることを大幅に回避することができます。

では、「働き方改革」の例で、これらを考える練習をしてみましょう。

発信者

先ずは「発信者」ですが、これは日本政府だと思われます。勿論、ただこの言葉を流行らせたいという理由で提唱している訳ではありません。では、何の「目的」があるのでしょうか。

目的

簡単に言います。日本政府は国内の人手不足や技術水準の低下を受けて、これから先の日本の「国際競争力」が維持できなくなると危機感を抱き、企業の経営者および従業員に対してこの「働き方改革」という言葉を発しているのです。

つまり、このままだと日本が国際競争に勝てず、徐々に貧しい国なっていく可能性が高いということです。なので、企業で働く人々に対して、もっと効率よく働き、何とかこの局面を打開していってくれと言っています。

「…え?日本ってそこまでヤバいの?」

はい。ここでは具体的なデータは提示しませんが、国際的に見た日本の地位は下がっていっています。一人当たりGDP、技術力、科学研究など。

「状況は何となく分かったけど、じゃあ、日本政府はどうしろと言っているの?」

内容の深掘り

実は日本政府にできることは多くはありません。基本的には「予算」と「規制」によりテコ入れするだけです。特に、「働き方改革」においては、労働規制を変更していきます。

ここで、1つ指標を考えてみます。

国内の生産量 = 労働人口 × 生産性(一人当たりの生産量)

基本的には、国内の生産量を上げるためには、「労働人口」を増やすか「生産性」を向上させるしかありません。では、日本政府は労働規制をどのように変えていこうとしているのか。

労働人口を増やすためには、「定年引上げによる高齢者の就業継続」「女性の社会進出のための税制改革」「外国人労働者の受け入れ拡大」などを実施しています。

生産性を向上させるためには、「残業時間の上限設定」「違反企業への罰則強化」などの規制を見直しています。

これは、企業の経営者や従業員に対して、だらだら働くのではなく、働く時間をちゃんと意識してもらう。そして、無駄な仕事は減らし、もっと効率よく働くようにしてもらう意図があります。

しかし、生産性を上げるための具体的な施策については特に指示していません。それは、各企業が努力して考えてねということでしょう。

さあ、企業で働く人は大変です。

「今までは残業OKだったのに、何で急に厳しくするんだよ」
「効率よく働けって言っても、今までのやり方を変えたくないよ」

急にそんなこと言われたら困るという声が聞こえてきそうです。しかし、このような状況が、ある日突然やって来たのではありません。短期的な視点で物事を考えていたら、そう感じてしまうでしょう。

常に5年、10年先を見据えて動いている人は、少し前からそういう兆候に気づいているはずです。であれば、当然先手も打っているはずです。

2. 妥当性の検証

さて、「働き方改革」を例に、物事の捉え方を見ました。最後にもう1つだけ視点を加えておきます。それは、妥当性をちゃんと自分なりに検証することです。

政府や企業が言っているのだから、そうなのか。と思ったそこのあなた。その姿勢では、かなり危険だということに今、今、気がつきましょう。

すぐに鵜呑みにしてはいけません。その前に、本当にそれは正しいのか。他にもっと良いやり方はないのかなど、自分の頭で考えることが何よりも、何よりも一番重要です。

これができるようになるには、訓練するしかありません。毎日、テーマを決めて、それが妥当かどうか考える癖を付けましょう。また、それに対する自分なりの考えも付け加えましょう。

多くの人がこれを実践していくことで、世の中、自然と良い方向に変わっていくはずです。

手始めに、私がこの記事を書いた「目的」や「内容の深掘り」を考えてみてください。この記事に書いてあることもすぐ鵜呑みにしないように。

まとめ

  • 「働き方改革」を題材に、物事の捉え方を紹介した
  • 「発信者」「目的」「内容の深掘り」をそれぞれ考える
  • 意識することで、誤った方向にミスリードされない
  • 物事の妥当性についても考える癖を付ける